・晴佳とジェイド。3「医療保険制度編」
「ルーク様、何か落とされましたが……」
「え? ……あ、俺の保険証! わり、助かった」
「保険証、ですか……?」
「おう。王室用だけどな。……って、知らないのか?」
「そもそも、何の保険なんです? 軍事保険ですか?」
「うんにゃ、医療保険証。これ持ってるとどこでも治療費が半額なんだ」
「は……?」
「ん? あ、そうか。悪い、最初から説明するわ」
「お願いします」
「キムラスカは医者にかかるのが一般的なのは知ってるよな?」
「えぇ、勿論」
「正直な、医者の仕事ってなぁ金がかかるんだよ。現物的に」
「あぁ……。そうですね。手術一つでもメスやら鉗子やら麻酔やら輸血用血液やらガーゼやら……と
にかく物入りですしねぇ。人件費も中々いい額行きますか。看護士雇ってない病院はもぐり扱いされ
ると聞きますし」
「そう。骨一本折っただけで大事だぜ。そうだな……軽く見積もっても二十万ガルドはかかるか」
「それは……一般の方には払えないでしょう? 給料何ヶ月分ですか」
「入院なんてした日には目も当てられねぇぜ。で、そこで登場するのがこの医療保険だ」
「あぁ……なるほど。システムとしては他の保険・補助制度と変わりませんか?」
「そう。キムラスカ・ランバルディア医療保険制度。加入者は月々千二百ガルドを支払えばこのカー
ドがもらえる。これさえあれば治療費・診察費はどこでも半額。気軽に…とは云えないが、まぁ借金
地獄には陥る事はない。保険証さえ持っていれば分割払いも認められるしな。しかも無利子だ。国
が指定する病にかかった場合は完全無料になるぞ。キムラスカ国民の七十パーセントは加入して
いる」
「キムラスカ人が長寿なのも頷けますねぇ……。それ、マルクト人は入れますか」
「残念ながらキムラスカ国籍の者しか駄目だ」
「ですよねぇ」
