・晴佳とジェイド。1 「第七譜術士編」

「キムラスカは第七譜術士が物凄く少ない」
「そうですね。割合としては、マルクト:ダアト:キムラスカで5:4:1、ですか」
「だから第七音譜の素質があれば問答無用で国の管理下におかれる。大体が軍に預けられるが、
王室付きになる事もある。が、王室付き第七譜術士はエリート中のエリートだな。数少ない第七譜術
士の中から、極めて素養の高いものがなる」
「マルクトでも第七譜術士は重宝されていますよ。キムラスカほど過剰な扱いはしませんが」
「そうだな。法律面で徹底的に保護してるし、衣食住は高ランクで提供される。給金なんざマルクト上
級軍人が目玉かっぴらいて驚くような額だぞ」
「……後学のためにお聞きしますが、いくらほどで?」
「C(最低)ランク術者でも、こんくらい」(紙にさらさらと数字を書く)
「……」
「S(最高)ランク――つまり、王室付きになるとこんくらい」(またさらさらと数字を書く)
「年俸ですか?」
「ううん、月給
「……」
「だからキムラスカだと、第七音譜素養者を産んだ親は勝ち組だ」
「それは、また……」
「お陰で後先考えずぱかぱか産む親がいやがってよー。育て切れなくて捨てるんだわ。お陰で社会問
題になってんだって」
「大変ですねぇ……」
「親の因果が子に報いってか。―――やってらんねぇよ」
「あぁ、それで貴方とナタリア殿下が孤児院を……」
「王立記念館「未来の家」な。俺らのポケットマネーと貴族・富豪からの寄付金で運営してんの。でもおっ
つかねーんだよなー。かと云って第七譜術士保護法を変えるのも無理だし」
「貴方でも無理ですか」
「俺だって万能じゃねぇんだよ」
「ご尤もで」