*晴佳落乱で傍観夢もどき

 ちょっと考えてみた。
 逆ハー夢主が空から落っこちて来て、天女様天女様云われて持て囃されるよ!
 夢主は結構可愛い子。でも誰からもモテると云うより、「想いも云えず胸に秘めてるような地味系
男子(cかれかの)」に好かれるような感じの子。なもので、突然異世界に来ちゃった上に、あらゆ
る男から愛を囁かれて真剣に怖がってる。
 でも正体不明な自分を好意的に受け入れてくれて、大切にしてくれているのだし……と頑張って
愛想笑い浮かべて一生懸命適応しようとしてます。
 普通に良い子なので、捏造生徒達も好意的に接してます。恋にまでは行ってない。

 そんな天女様を鳴瀧二人が傍観。
 本当に見てるだけ。

「凄いモテようだなご先祖様」
「えぇ本当に。くの一教室まで陥落ですよ、子孫君」
「何だそれ凄すぎる」

 実を云うと、夢主の逆ハー補整と鳴瀧家の総モテ補整は似たような物。両方神様からの恩恵。
(逆ハー補整は外から夢主を覆うようにしてあるが、鳴瀧家は血に宿る補整なので内側から滲み
でる感じで多少モテ方に違いがある。
 後、鳴瀧家の連中のモテ方にはムラがある。男女両方からモテ、とか、同性、もしくは異性から
のみモテ、とか)
 なので、天女様のモテっぷりも「うちのSランク位だな……」みたいな見方。特に嫌悪したりしな
い。神様だからしょうがない、みたいな。
 流石に恋人(勘右衛門)や親友(乱きりしん)を盗られていたら心中穏やかじゃありませんでした
が、鳴瀧家補整により彼らには逆ハー補整の効き目が緩和されてるので大丈夫でした。よく天女
様を気にかけてはいますが、単なる親切や配慮から来てるもので、恋愛感情はありません。よかっ
たよかった。

 そんな訳で特別気にする事も無く日々を過ごしていましたが、ある日晴佳が裏庭でしゃがみ込む
天女様を発見。気分でも悪いのかと声をかけると、可愛いお顔が涙に濡れていて晴佳びっくり。
 基本、女には優しい下衆です。敵認定しないかぎりは、砂糖と蜂蜜をかき混ぜたみたいに女に甘
外道です。すぐに手拭いを取り出して、そっと涙を拭ってあげます。

「どうしました……? 哀しい事でも、ありましたか?」

 優しく問いかければ、天女様はわっと大泣きしながら晴佳の胸に顔を埋めてきます。

「帰りたい……! 帰りたいの! 皆、皆優しくて、親切で、でも……私、お家に帰りたい……!」

 ずっと云えなかった、天女様の――いえ、女の子の本音でした。
 だって皆優しかった。誰も厭な顔をしなかった。穏やかに受け入れてくれた。こんな不審者を。役
に立たない小娘を。
 そんな人達に、家に帰りたい=此処から出たいなんて云えませんでした。
 でも耐えきれなくて、裏庭でしくしくと泣いていた時現れたのは、死んだ魚のように虚ろな目をして
曖昧な笑みを浮かべた子供です。皆が自分を見る時に浮かべるような、恋慕や慈愛や友愛の色は
一切なくて、だから素直に云えました。
 この子は私がどうなってもどうでもいいと思える子だと悟って、弱音を吐きました。

 そんな女の子を――子供は、堪らないくらい愛しく思いました。

 その言葉は晴佳も云いたかった。泣いて喚いて云いたかった。家に帰りたい、家に返せと叫びた
かった。
 でも自分はもうこの現状になれ切っていて、突然家族から引き離されるのも”仕方のない事”で、
だから云えなかった。
 何だか自分の代わりに云って貰ったような気がした。

 女の子を抱きしめて、優しく頭を撫でて、丁寧に髪を好きながら、帰れない子供が云う。


「大丈夫。大丈夫だよ。私が、絶対に君を帰してあげるからね……」


 そんな感じでスタートする晴佳×天女様(仮)を発端とした晴佳vs忍たまを書きたい。



 何だか最近、天女様が鳴瀧にべったり。え、何あの雰囲気。恋してないあれ。恋じゃないのあれ?!
おいおい何でだよあいつ一年生の癖に何天女様落としてんだよ。て云うか、人が必死こいて気を引い
てた時にはツレなかったくせに、ぽっと出の天女様には靡くのかよふざけんなよ!

 可愛さ余って憎さ万倍。もうどっちに嫉妬すればいいのか分からない忍たまが晴佳をKillしようとした
り天女様をクラッシュしようとしたりして「ふwざwけwんwなwww」と晴佳に返り討ちにされる話を書きた
い。
 晴佳&天女様陣営の味方は乱きりしんと保健+用具。捏造生徒+その恋人は傍観。乱きりしん以外
の一年は組は最初は天女様クラッシュ派でしたが、後に和解。

 オチは女の子を家に帰して、一件落着系、かな。バッドエンドも書きたい気もするが。