姉兄を愛する子
 元ネタ「鬼を愛する人



 近所の子供が嘲笑う
 無邪気な悪意を撒き散らして

「お前の姉ちゃん阿婆擦れで
 見知らぬ男に尻を振ったんだ」

 そんな悪口に怒り狂い
 誰彼構わず殴り付けた
 大事な姉の名誉の為
 どんな汚名も着ようと

 姉を愛していた 置いてかれても
 心は揺らぐ事無く

 姉を守るために どんな時でも
 気高く生きて行く それでいいんだと


 遠い親戚が冷めた目で
 吾(おれ)を見下し呟いてきた

「あんな男の弟なら
 お前もろくでなしになるのだろう」

 そんな決めつけに反発して
 忍びの世界に興味を持つ
 周りの期待に背中押され
 ありがとう 行こうか 旅路へ

 馬鹿な兄だったと 他人(ひと)が云うけど
 否定する事は無いな

 尻尾を巻いて逃げた あの馬鹿野郎に
 吾がけじめをつけてやろう

 馬鹿な兄だったと 蔑んでみて
 虚しいだけの胸中に
 優しい思い出が ふと蘇えり
 小さな微笑みを 浮かべていたんだ


 結局 引き留めもしないで
 二度も見送るだけだった
 知っていたのに 気付かなくて
 涙も枯れるだけ


 姉を愛していた 優しい姉を
 守る事を望み続け
 兄も愛していたが 心砕かれ
 初めから嫌いだと 思い込んで――