・走りながら名前と愛を叫ぶ。


(嗚呼、今日も人間は素晴らしいなぁ。どんな人間も他人様へ見せられないようなどろどろと濁った
汚い部分を持っていてそれを見せびらかしたり隠したり利用したり十人十色! 実に面白い! そ
うだ人間と云う存在は理解出来ない不可思議な物なんだ! 嗚呼楽しいな楽しいなさて今日は――)
「そこのうざやさん、邪魔です
「ふおう?!」
「気持ち悪い声出さないで下さい気持ち悪い
二回も云う事無いじゃないか! て云うか、普通に歩いてただけで邪魔とか気持ち悪いとか酷い
よね?! 全面的に帝人君が酷いよね?!」
臨也さんは普通に歩いてるだけで邪魔で気持ち悪いんですよ。変態が普通に歩いてたらそれ
だけで違和感ありまくりで気持ち悪いです。自重して下さい」
「へ、変態?! 自重?! 普通に歩く事を自重するってどう云う事?!
いつものようにうざい笑い声を上げながらジャケットプレイしつつ走り回ればいいじゃないですか」
「俺いつもそんな事してないよねぇ?!」
「あ、そうでしたね、今はジャケットじゃなくてコートでしたね。じゃぁコートの前を手で全開にしつつ狂っ
たように笑いながら駆け回って下さい。いつものように
だからいつもしてないよ! それじゃぁ俺が変態みたいじゃんか!」
「え、変態……ですよね?」
「ちょ、何その顔、何その思いもよりませんでしたって顔?! 酷くな……うん?」
「どうかしました?」
「いや……帝人君、今もしかして凄く機嫌良い? て云うか、その頭の包帯どうしたの?」
「えぇ、機嫌はすこぶる良いですよ。この包帯のお陰で」
「? ……? ……。……シズちゃん絡みか!」
「わぁ、流石臨也さん素晴らしい勘の良さです気持ち悪い
気持ち悪くないよ?! 勘がいいって普通褒められる事だしね?!」
「だから褒めたじゃないですか。素晴らしいって」
「……。……帝人君は俺いじめて愉しい?」
「全力で不快です」
「そこで愉しいって云ってくれたらまだ俺は救われるのに!」
臨也さんを救っても誰も幸せになれませんよ。僕が救いたいのは僕だけです」
「……帝人君って、シズちゃんの事好きなんだよね?」
「えぇ、好きですよ。愛してます。僕はこの街で静雄さんを一番愛してます」
「この街で、ね……」
「あ、もうこんな時間……。臨也さんに構って無駄過ぎる時間を過ごしました。僕帰りますね」
「あの、そこは普通に「遅くなったんで帰ります」って云って欲しいかな!
「それじゃぁ、さようなら臨也さん。「人、ラブ! 俺は人間が好きだ! 愛してる! だからこそ、人
間の方も俺を愛するべきだよねえ」なんていざい理屈を叫びながら池袋の街を駆け回ってお巡りさ
んに職務質問されて毎日持ち歩いてるナイフを見咎められて叱られて留置所に一晩泊って朝日と
共にしょんぼりしながら出て来て下さいね」
「ちょ、まっ……! その言葉はどこから突っ込めばいいんだ?! ねえ! 何で俺が一人きり
の時に叫んだ言葉知ってるの?! 帝人君の中じゃ俺って常に駆け回ってる人なの?! その悪
意に満ちた希望は何?! ねぇちょっと待って、待ってってば帝人君! 帝人くーん?!


 【配布元:Abandon】